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腫瘍内科

当科・当部のご案内
 はじめに
「腫瘍内科」の本来的な守備範囲は全ての悪性腫瘍の診断・治療のコーディネート、加えて固形腫瘍への薬物療法、緩和療法とサバイバーシップの問題への対処など極めて広汎ですが、日本では腫瘍内科そのものの歴史が非常に浅いこともあり、現時点では各施設の実情に応じて、現実的に可能な範囲で最大限のメリットを期待できる守備範囲を設定することが多いです。以下に示す診療対象、診療実績は現時点でのもので、今後更に守備範囲を拡大できるよう、新規スタッフのリクルートや専攻医制度での専門医の育成なども全力で行っております。
 当科の診療範囲
現時点では、臓器横断的なアプローチが特に求められる原発不明がん、及び体幹部の肉腫に対する化学療法を中心に行っています。また、乳腺科と共同して乳がんの術前及び術後化学療法を、婦人科と共同して腹膜がん及び卵巣がん、子宮頸がんを中心に化学療法を行っています。
 標準治療について
原発不明がんについては、院内ほぼ全科の先生の協力を得て、できるだけ速やかに系統的な全身検索と病理組織診断を行うようにしております。それにより原発が判明することもままありますので、その場合は当該診療科にその後の治療を依頼しております。原発が判明しない場合、全体の約2割を占める、特定のがん(卵巣がんや乳がんなど)に準じた薬物療法を行うべき患者には特定の治療を行い、他の約8割の患者には化学療法又は緩和療法を行っています。原発不明がんのこのグループに対する化学療法はまだ標準治療が確立されておらず、可能ならば臨床試験への参加をお勧めしています。緩和療法に関しては、近隣のホスピスや在宅緩和ケアを行う先生と積極的に連携しています。
乳がんに関しては、St.GallenコンセンサスカンファレンスやNCCNガイドライン、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン、その他最新の臨床試験の結果をふまえて、腫瘍内科医師と乳腺科医師で予め議論を重ねて作成した院内用の乳癌診療マニュアルに基づいて、治療を行っております。
腹膜がん及び卵巣がんに関しては、初回化学療法はTC療法を標準治療として、病状に応じオプションとしてカルボプラチン単剤やweekly TC療法を行っています。再発後の化学療法に関しては、プラチナ・フリー・インターバルに応じてプラチナ感受性にはプラチナ・タキサン併用療法を、プラチナ耐性にはドキシル療法やイリノテカン単独や緩和療法を行っています。臨床試験も積極的に行っています。
治療成績について
発足間もない診療科なので、診療実績を以下に示します。
尚、以下の入院患者数には同一患者の繰り返し入院は含みません。外来患者数には、前年からの継続診療の患者を含まず、セカンドオピニオンやコンサルトを含みます。

平成17年度入院患者34名内訳:  
肺がん7名、食道がん7名、原発不明がん5名、大腸がん4名、胃がん3名、肉腫3名、卵巣がん2名、胸膜中皮腫1名、胸腺がん1名、胆管がん1名

平成18年度新規入院患者数:38名
原発不明癌11名、乳癌 6名、卵巣癌及び腹膜癌4名、大腸癌4名、肺癌3名、食道癌3名、肉腫2名、膀胱癌2名、子宮頸癌1名、胃癌1名、肝細胞癌1名

新規外来患者数:73名(但し平成18年9月から19年3月分)
乳癌31名、原発不明癌21名、婦人科癌13名、肉腫4名、頭頸部2名、食道癌、副腎癌、各1名

平成19年度  新規入院患者数:47名
原発不明癌10名、乳癌9名、卵巣癌及び腹膜癌17名、肉腫5名、大腸癌3名、食道癌1名、子宮体癌1名、胚細胞腫瘍1名

新規外来患者数:171名乳癌41名、原発不明癌48名、卵巣癌及び腹膜癌21名、肉腫18名、大腸癌12名、胃癌9名、食道癌3名、子宮体癌3名、子宮頸癌3名、尿路上皮癌3名、その他希少癌種(胚細胞腫など)10名

臨床研究、臨床試験について

 当科では化学療法の効果、画像評価、各種採血データ、化学療法の副作用等様々な臨床データを用いて予後解析や臨床研究を行い、新たな知見の開発に取り組んでいます。これらの臨床データは通常の診察時に記録されるデータであり、特別に患者さんに負担していただく費用や検査等はありません。このような臨床研究に関してさらに説明を希望される方、またこのような臨床研究への利用を希望されない方は担当医師までお申し出ください。

 患者さんに参加していただく研究・試験でありますが、患者さんに不利益があってはなりません。すべての研究は参加するのに適切と思われる患者さんを対象に、将来的に有効性が証明される可能性のある新しいお薬、よりよい投与法、よりよい組み合わせに挑戦できるというメリットがあります。現在もっとも良いとされる薬剤、投与方法、組み合わせ(標準的治療)もすべて臨床研究・試験の結果を経て採用されており、臨床試験に参加することで将来の標準的治療を受けられる可能性があるのです。一方で確立されていない治療であるため、未知の副作用を被る可能性があることを十分に理解していただく必要があります。当科では医師からの十分な説明をさせていただき、患者さんが十分に納得いただいた上で、臨床試験への参加を同意いただいています。

 当科で現在実施している臨床研究・臨床試験は以下の通りです。全て治験審査委員会・倫理審査委員会の承認を得ています。

現在実施中の臨床研究・臨床試験
  1. 日本臨床腫瘍研究グループ (Japan Clinical Oncology Group, JCOG)

    JCOG0503
    プラチナ耐性タキサン既治療卵巣癌に対する経口エトポシドと静注イリノテカン併用化学療法に関する第 II 相試験
  2. 日本婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構 (Japan Gynecologic Oncology Group, JGOG)

    GCIG/JGOG 3017
    卵巣明細胞腺癌に対する術後初回化学療法としてのPaclitaxel + Carboplatin (TC) 療法とIrinotecan + Cisplatin (CPT-P) 療法のランダム化比較試験 (Randomized Phase III Trial)
  3. 阪神がん研究グループ

    GCIG/JGOG 3017
    飲酒習慣のない70歳未満の女性を対象として中等度催吐性化学療法におけるアプレピタントの有用性を検討するプラセボ対照無作為化第II相試験
  4. 神戸乳がん腫瘍研究グループ(Kobe Breast Cancer Oncology Group, KBCOG)

    KBCOG05
    リンパ節転移を有するHER2陽性原発性乳癌に対するweekly Paclitaxel + TrastuzumabとFEC療法の逐次併用化学療法に関する検討
    KBCOG06
    原発性乳癌に対する術前化学療法としてDocetaxelもしくはweekly Paclitaxel療法後の5-FU+Epirubicin+Cyclophosphamide併用療法の無作為化第II相試験
  5. 厚生労働研究中川班

    未治療原発不明癌に対するDNAチップを用いた原発巣推定に基づく治療効果の意義を問う無作為化第二相試験

  6. 院内臨床研究

    1. (1) Ib2-II期子宮頸がん患者に対する Cisplatin+weekly Paclitaxel による術前化学療法の臨床第 I/II 相試験
    2. (2) ドキシルによる手足症候群を予防するためのアイスノン使用の検討
  7. 治験

    1. (1) 進行固形がん患者を対象とした3剤併用第I相臨床試験
    2. (2) エーザイ(株)の依頼による白金製剤感受性の初回再発卵巣癌患者を対象としたカルボプラチン及びタキサン系抗がん剤併用時のFarletuzumab(MORAb‐003)週1回投与の有効性及び安全性を評価する無作為割付け二重盲検プラセボ対照第III相試験
    3. (3) ErbB2過剰発現を示す転移性乳癌患者を対象としたラパチニブオープンラベル第 I/II 相試験
    4. (4) 転移性乳癌患者を対象とした比較第II相試験

2011年4月




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